スルガ銀行、TATERUと、顧客の預金残高を改ざんして、アパートを建てるという違法行為が明らかになった。これを受けて金融庁は融資システムの厳格化に乗り出そうとしている。もともと、不動産への貸し出しは高い水準にあったが、これを受けて、今後はその水準が保てなくなるだろう。アパートローンバブルの崩壊は間違いない。これがどのような影響を市場に与えるのか?考察していく。
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多少の改ざんは目をつぶる?
信じられない話だが、ツイッターやネット記事で、多少の改ざんに関しては大目に見るというのが金融関係者にとっての半ば常識のようなところがあったらしい。
おそらくだが、不動産を担保にすることで、現金が多少少なくても融資をどんどんしていこう。そういう雰囲気だったのではないだろうか?
マイナス金利で日本国債から収益を上げることが難しい金融機関にとって、アパートローンは一定の収益をあげられる大きな果実であったのだろう。
サラリーマン相手の不動産仲介業者
TATERUのような業者から電話がかかってきたことはないだろうか?サラリーマン向けの不動産会社なんですが?こういう類の電話だ。
正直言って、この界隈、どうしようもない物件を押し付けてるような怪しい会社が多い。そもそも本当に儲かるならば、自社で運用すればいいのだ。もっとも、優秀な物件は自社のものにして、他を顧客に売りつけるようなことをしている会社も多いらしい。
話を戻すが、サラリーマンの貯金というのはたかが知れている。こういう不動産会社が庶民に物件を買わせるには銀行の力が必要だ。
また銀行も相手がサラリーマンなら継続的な収入が見込める顧客である。カードローンの上位バージョンのような顧客だ。
上記で述べた通り、現在の市況は銀行が利ザヤを稼ぐのに厳しい状況だ。不動産業者が紹介してくれる優秀なサラリーマンの借り手は非常に魅力的なのだ。
リーマンショック明けあたりから、サラリーマンの不動産屋関連の書籍が増えた
将来の年金になりますだの、資産形成だの、そういう甘い言葉でサラリーマンの投資欲を刺激する本が、2008年頃から急速に増えていった。
今まで、アパートを建てる人間と言えば、地主さんがほとんどだった。しかし、新興不動産は銀行と組み、サラリーマン市場を開拓していったのだ。
そもそもアパートなんてのは、地主さんの節税対策だったり、相続対策だったり言われていたものだ。そんなに簡単に儲かるものではないし、簡単に儲かるならば、不動産屋が所有し続ける。
サラリーマンは生かさず殺さずで、銀行や不動産業者から吸血鬼のように金を吸い取られる。そんな事例も多かった。
農地改革とサラリーマン向け不動産投資がひと段落し、アパートバブルは終わる
スルガ銀行、TATERU事件で今後の貸し出しは間違いなく厳しくなる。そして、農地を宅地に変更できる改革もひと段落しそうだ。つまり今までお金を貸すことが出来ていた、あるいは、建物を建ててくれていた人たちが一巡するのだ。
その結果、銀行が不動産向け融資から得られる儲けは少なくなるだろうし、アパート建設も厳しくなるだろう。ちょうど、今が終わりの始まりになる。そんなタイミングだ。
銀行の収益悪化と不動産市況の鎮静化、日経平均株価はピークである。いよいよ、大恐慌の始まりが近づいてきた。そんな気配をまつやんは感じている。